蜻蛉
7つの時に見上げた空
赤いトンボが飛んでいた
夕日に向かって追いかけて
転んだ僕の背中に一度
止まって逃げた赤蜻蛉
人生の意味を見失って
雨の降る中傘もささず
公園のベンチで夜を待つ
どうして忘れてたんだろう
雨に濡れ飛んでくる赤蜻蛉
どうして飛んでないんだろう
背負う荷が重くても僕も飛べるのに
15の時に眺めた空
赤いトンボが群れていた
夕日を背にして歩き出す
流した涙を拭った後で
僕を追い越す赤蜻蛉
本当の幸せを探したくて
ガードレールに足を載せて
水平線を見渡した
どうして忘れてたんだろう
笹の上たたずんだ赤蜻蛉
どうして気づかないんだろう
足元に転がしたあの言葉の意味
どうして忘れてたんだろう
俺がまだ僕だったあの頃を
どうして忘れてたんだろう
どこまでも飛んでゆく赤蜻蛉
どうして…… どうして…… |